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住まいもショップも

第壱話ちびまる子ちゃん

今回はアットホームなマンガ「ちびまる子ちゃん」の家をみてみましょう。このマンガは1974年頃の静岡県清水市(現在は静岡県静岡市清水区の入江地区)を舞台にした小学校3年生の「さくらももこ(愛称まる子) 」が主人公のマンガです。

父親の「ひろし」の両親と同居で、まる子の姉(さきこ)を含め合計6人家族の住まいです。間取りは典型的な“中廊下型住居”。明治時代半ばに登場し大正から昭和初期にかけて広く普及した間取りと言われています。

この “中廊下型住居” は住まいの中央に長い廊下があり、北側には台所やお風呂などの水廻り、南側には居間、客間などの居室を配置するのが特徴です。

そもそも “中廊下型住居” は戦前の家長制度を象徴した間取りです。つまり家族の中で「家長」が最も偉くそれに続いて家族の順列が決まっていたという封建的な時代の間取りなんです。

時代が時代ならこの住居では中廊下を挟んで北側と南側でそれぞれ暮らす人が決まっており、まる子の両親(ひろし&すみれ)の部屋はもともと女中部屋として利用される位置になります。

本来主人(家長)の居室は南側にあるのですが、そのお父さん(まる子のおじいちゃん)が健在であり、広縁と縁側がある家長の居室を譲っているという状況なんでしょう。

若しくは子どもたちの部屋の場所がこれに変わる家長の居室なんですけど、このマンガの時代背景を考えると両親の寝室より子ども部屋を重要視しているのではないかと推察します。

そう考えると1974年(昭和49年)当時にこのような間取りが残っていたことに改めてびっくりさせられます。多分時代とともにキッチンやお風呂、トイレなどはリフォームしながら住まいを使ってきたのでしょうが、薄暗い両親の部屋や、和室にむりやり机を置かざるを得ない子ども部屋など、時代の変化に対応しきれていない住まいともいえますね。

住まいは住む人が快適にまた使いやすく暮らせることが重要ですが、暮らし方には時代背景に応じた文化が大きく影響します。今ではフラットな家族関係が多く、友達感覚の親子の話もよく耳にしますが、子どもを育てるという大役が子を持つ親にはあり、どのような大人になったかは半分親の責任ともいえるのではないでしょうか。

封建時代の間取りである「ちびまる子」の住まいがいいとは決していいませんが、親としての自覚とともに、子どもを立派な大人にする “しつけ” ができる住まいはできないものかと思います。

今どき厳格な順列がある家族なんて見かけませんが、両親を敬う姿勢や高齢者を労わる気持ちを養うという “文化” は残していきたいものです。

第弐話サザエさん

国民的ホームマンガの代表作であるサザエさん家。原作漫画のサザエさんは昭和21年に福岡の地方新聞で連載が始まりました。テレビ漫画のスタートが昭和44年ですからまさに日本の住宅業界は好景気の時期と言えます。

改めて見てみると現代の感覚では三世代2家族の住まいにしては小さいと感じます。でもこの小さな住まいは日本人の生活の知恵がぎっしりと詰まっています。

一般的にいう“田の字型プラン”の間取りですし和室が多いことも特徴です。田の字型プランは必要に応じて部屋の大きさを替えることができますし、和室は部屋の使い勝手を固定化しません。

つまり日本人は“室”という空間の仕切り方ではなく“間”という仕切り方で住まいを構成してきました。これはそれぞれの空間を必要に応じて使い分けできるという、小さい住まいでも広く使える日本人の知恵なんですね。

でも逆にプライバシーは確保しにくい住環境ともいえます。

このサザエさん家は昭和20年当時最も一般的な間取りです。家長(波平さん)の寝室と客間を日当たりのいい南側に配置し、個室や団らんの場である茶の間を北側に配置。

トイレはくみ取り式が一般的でしたから住まいの一番奥に配置しています。広縁は別名“表廊下”とも言い、お客様専用の通路として利用していました。

ここで注目したいのがサザエさんの部屋の位置です。所帯が別というのは言い換えれば別の家族です。磯野家とフグ田家を廊下を使って絶妙な距離感で分離しています。

さらにもうひとつ子どもたちの部屋も注目です。 テレビでは広そうですけど実は4畳半を二人で使っていたのです。さすがにこの狭さだと部屋にこもりにくいですね。

さらに茶の間のそばというのも家族とのコミュニケーションを活発にする要因なのかもしれません。玄関から“ただいま”の声が届きやすい場所に茶の間(団らんの場)があることも楽しく暮らすためには重要 なのかもしれません。

この当時の間取りは家族のプライバシーを確実に確保することは難しいのですが、家族の和とか絆といった本来家族に大切なことが自然と育める工夫があるのかも知れません。

それは他人への気遣いとか思いやり、開けられるけど勝手に開けないドアなど、大人の社会に巣立っていくための子どもたちへの“躾”も同時に行える環境でした。

そんな住文化を育める間取りこそ、家族崩壊の危機といわれる現代に必要な環境なのかもしれませんね。

第参話ドラえもん

ちびまるこちゃんに続きもうひとつの国民的TVマンガが「ドラえもん」。夢のような道具が出てくるドラえもんの異次元ポケットは誰でも欲しくなる一品ですが、何はともあれ、とにかくドラえもん(野比のび助)宅を見てみましょう。

原作のドラえもんは1969年(昭和44年)に小学館から発行されています。1973年(昭和48年)にTVマンガの放映が始まりました。時はまさに高度成長期時代。

当時のサラリーマンが夢に見たマイホームの代表例とも言える間取りです。玄関脇に応接室があったなんて気づきませんでした。主な居室は和室が中心というのもこの当時の主流だったんでしょう。

でもしかし、時代錯誤と���などれないのがこの和室と床の間���す。季節ごとの風物詩である雛人形や端午の節句を飾ったり、お正月には鏡餅が鎮座したりと日本文化を感じる場所でも あるのです。

最近では床の間はおろか和室さえ存在しない住まいが多くなってきましたが、これって実は家族生活に大きな影響を与えているんです。

その最たるものが、“こどもをしつける場所”がなくなったこと。

お宅ではお子さんをどこでしかっていますか?前々回のサザエさんの家でも、波平さんの部屋には床の間が存在し、カツオ君はそこでよくしかられています。

のび太君はお父さんよりお母さんにしかられるシーンが多いので、床の間で父親にしかられるシーンは記憶にありませんが、多分お父さんがしかるときはこの床の間を背にしてしかるのでしょう。

子どもが育つ過程ではこのような住まいの中でちょっと気が引き締まる場所が必要だと思うのですがどうでしょう。

その他間取りで気になる部分といえば、DKが狭いことと2階の和室の使われ方でしょうか。使われていない 応接室といい、使用意図が不明な2階の和室といい、狭いDKも含め、この家族の暮らしぶりにあっていない住まいの典型的な例ではないかと思います。

でもこのように実際の暮らしぶりにあっていない住まいが現実に多いのも事実。自宅に異次元への出入り口が無いご家庭は、もう少し自分達の暮らしぶりにあわせた住まいにしたいものです。

この機会に自宅の間取りと自分達の暮らしぶりを考え合わせながら、住まいのリフォームを考えてみるもの楽しいかもしれませんね。

第四話あたしンち

そろそろ戸建ではなくマンション編も。ということで今回は「あたしンち」のマンションを見てみましょう。ところで皆さん「あたしンち」ってTVマンガご存知ですよね。

高校生である“みかん”が主人公のほのぼのマンガです。原作は読売新聞の日曜版に1994年から連載が始まり、2002年からTVアニメ化したマンガです。

間取りを見てみますと、一般的な3LDKのマンションなんですが、マンガでは玄関や廊下が異常に広いんです。

さらにキッチン廻りがいまひとつ良く分からず筆者の独創も交えた間取りだとお考え下さい。分譲マンションなのか賃貸なのかも不明ですが、一昔前の賃貸マンション風でしょうか。

通常の3LDKのマンションでは、北側(廊下側)に2部屋、南側(ベランダ側)に2部屋で中間にキッチン、バス、トイレといった水廻りを配置する間取りが多いんですが、この「あたしンち」は東側の端っこに位置し窓が設置できるので子ども部屋が縦に並んでいます。

マンガ「あたしンち」ではお母さんの強烈なキャラクターの影響もあり、子どもたちも素直に育っていますが、一般的なこのような間取りでは、子どもたちが個室にこもりがちになりやすいんです。

なぜかって、玄関から帰ってきてそのまま自分の部屋に直行でき、両親が子どもたちの帰宅に気づかない間取りですから。それに引き換え両親の寝室は多用途に使える和室になっています。

好き嫌いがありますので両親の寝室が和風にするかどうかはお好きな様式でいいんですけど、問題は寝室の場所です。家族が集まるLDKの隣に襖1枚で区切られた寝室というのが大きな問題なんです。

この間取りだと両親の寝室は家族やお客様も気軽に出入りできますし、プライバシーはほとんど無いと言えます。それに対して子ども部屋はドアで仕切られ廊下を通してしか出入りできないというプライバシーが保てる場所にあります。

筆者がこのようなマンションのリフォームを依頼されたら、まず子ども部屋と両親の寝室のゾーニングを逆にしたプランを考えます。それはなにも子どもたちにはプライバシーは必要ないなんていいませんが、子どもたち以上に夫婦のプライバシーを大切にすることが重要だから。

家族で幸せに暮らしたいならもう少し自分たち(両親)のプライバシーに気を使った間取りにしたいものです。なぜかといえば、本当に幸せな家族の実現には、夫婦円満が不可欠だからです。

第五話クレヨンしんちゃん

今回はこのクレヨンしんちゃんの間取りを見てみましょう。このマンガは1990年に連載が始まり、92年にTVアニメが始まっています。

当時の日本はバブルがはじけて不景気になったころでしょうか。しんちゃんの自宅は東京近郊のベッドタウンである埼玉県春日部市の設定です。

実際の春日部市は東京駅まで約50分という位置でまさに都内への通勤圏という地域にあたります。4DKの一戸建てというこの住まいですが、典型的な建売住宅の間取りといえます。

1階に2部屋+DK+水廻り。2階に2部屋で玄関ホールが吹き抜けになっています。特徴的なのは1階の和室で、マンガの設定では客間となっているようですが、2階の寝室を使わないでこの和室で家族一緒に就寝という使い方をしています。

まだしんちゃんも幼稚園だし、その妹のひまわりちゃんもヨチヨチ歩きの赤ちゃんですら、2階の寝室よりこちらの和室の方が使いやすいのでしょう。

アニメでは1階の居間でくつろぐシーンが良く出てきますが、床はジュータンで座って生活しています。隣のDKはフローリングで椅子・テーブルの生活になりますので本来はほこりやチリが気になって使いにくい間取りなんですけど、まさにこれこそ一般的な使い方といえそうです。

しんちゃんの家の場合、建売住宅(?)だからしょうがないのかも知れませんが、間取りを考える場合、この座式と椅子式の暮らし方を十分検討することで快適な暮らしが可能になりす。

例えば玄関に近い居間でDKと隣接している場合、一般的にはやはり椅子式の部屋を想定します。これは玄関ホールやキッチンが立って使用する場所だからであり、床に座ってしまう居間(茶の間)では立ったり座ったりが大変になるからでしょう。

でも居間や茶の間ではのんびりとくつろぎたいと思うと、どうしてもゴロンとできる座式の空間が欲しくなります。

これは居間をパブリックなゾーンと捉える欧米のライフスタイルと自宅は全てプライベートゾーンと考える日本のライフスタイルの違いが大きく影響しています。詳しくは触れません
が、たとえ自宅といえども居間ではダラッとしないという欧米のライフスタイルを無視して、部屋の造り方だけ真似た結果が現在一般的になっているLDKの造り方なのです。

この居間や茶の間という空間の過ごし方をどのように考えるかは、快適に暮らす住まいを実現するためには大切な検討項目ですから、充分気をつけたいものです。

第六話巨人の星

ご存知スポコンマンガのルーツともいえる「巨人の星」。主人公飛雄馬と一徹と明子さんとの3人暮らしです。原作は「少年マガジン」に1966年(昭和41年)から連載開始。1968年(昭和43年)年)からTVマンガとして放映開始ですから、まさに高度成長期時代突入の時期ですね。

まず感じることは何しろ狭いこと。これは貧乏だからというのではなく、この当時の一般的な借家住まいは大体この程度の広さということをご認識ください。

その割には玄関が妙に幅広く奥行きがないんです。さらに玄関ホールという部分がなく、玄関のタタキ(土間の部分)と茶の間は障子で仕切られているという構成です。

この玄関のタタキと和室のつながりは、田舎造りとも言える民家の代表的な構成なのですが、その造り方を街中の借家でも採用していたことが特徴です。

これは来客時や帰宅時に玄関ドア(ガラガラ戸)を開けても直接プライベートな空間が見えず、尚且つ小さく住まいをまとめるための工夫なのかもしれません。

現在では一般的な玄関ホールがなぜ必要なのかを考えさせられる間取りですね。

次に台所ですが、この当時を思い起こせば電化製品はまだまだ普及段階であり、またキッチンも人造石研ぎ出し(ジントギと略します)というグレーの石っぽい流しのみというもの。

現在では標準である“システムキッチン”の前身である“ユニットキッチン”すら標準ではなかったんですね。星飛雄馬が生涯のライバルである花形満との対決に備え、炎の玉を下駄で跳ね返す技を身につける特訓をしたシーンを思い浮かべると水道も共同の井戸だったんでしょう。

当然トイレは汲み取り式でしょうから、台所との距離がちょっと気になります。玄関脇の物置きは、今で言うパントリー(食品庫)でしょうか。

漬物樽や野菜などを保管していたのでしょう。これらを考えると食事する場所と寝室は一緒ではありますが、子ども部屋は二人分あるし台所やパントリーが充実した立派な借家であり、暮らすには十分な広さなのかも。

小さな壁の穴でボールを木にあてて跳ね返す超人的なコントロール以上に、断熱もないうすっぺらな壁で暑さ寒さに耐え忍ぶ当時の暮らしぶりに感動したりして・・・。